雲の粒は直径1/1000mm程度が通常で、空中に浮かぶ非常に小さな水滴や莫大な数の氷晶が雲や霧といえます。
雲や霧は飛行機の運航に対して、離着陸時に影響する視程障害現象を起こすだけでなく、飛行中の乱気流や着氷にも関係があります。
雲
雲の分類
状態での分類
・すじ状の雲
☞ 絹雲・巻雲系の雲で馬の尾のように雲の組織が筋が集まったように見える
・層状の雲
☞ 層雲系の雲で平らに水平に広がっている
・団塊状の雲
☞ 積雲系の雲で群がったり積み重なったりしている
出現する高さでの分類
・高層雲
☞ 5000m~14000m/16000ft~45000ft
・中層雲
☞ 2000m~5000m/6000ft~16000ft
・低層雲
☞ 2000m以下(6000ft以下) *雲が地面に接すると霧と呼ばれるようになります
・垂直に発達する雲
国際十種雲形
・巻雲/Cirrus
白色で薄い羽毛状になっており、散在しているか細い帯状になっている
高層雲に分類され略号はCi
・巻積雲/Cirrocumulus
白色でちいさなふくらみがたくさんあり薄く広がっている。うろこ雲とも呼ばれる
高層雲に分類され略号はCc
・巻層雲/Cirrostratus
透明で白っぽい雲の層で、シーツかベール状になっている。うす雲とも呼ばれる。
高層雲に分類され略号はCs
・高積雲/Altcumulus
白か灰色の塊の雲でしばしば波状を呈することがある。ひつじ雲とも呼ばれる。
中層雲に分類され略号はAc
・乱層雲/Nimbostratus
灰色か暗褐色のかさばった雲で代表的な雨雲である。
中層雲に分類され略号はNs
・層積雲/Stratocumulus
灰色か青みがかった断片状か層状の雲で、個々がロール状か団塊状である。うね雲とも呼ばれる。
下層雲に分類され略号がSc
・層雲/Stratus
かなり一様な雲底を持った、灰色の低い層状かシーツ上の雲。きり雲とも呼ばれる。
下層雲に分類され略号はSt
・積雲/Cumulus
輪郭のはっきりした、離ればなれの濃い雲で垂直に盛り上がっている。わた雲とも呼ばれる。
垂直に発達する雲で略号はCu
・積乱雲/Cumulonimbus
山、大きな塔のように著しく垂直に発達した雲。かみなり雲とも呼ばれる。
垂直に発達する雲で略号はCb
垂直に発達する積雲や積乱雲は飛行機が中に入ってしまうと大きな乱気流が発生してしまう可能性が極めて高い雲です。可能であれば避けて飛行すべき雲となっています。
*雲の画像は広島市江波山気象館ホームページより
雲の発生
雲は水蒸気の凝結と昇華によって発生するものです。
大気中で凝結と昇華が起きるのは、
・水蒸気を含んだ空気が何らかの理由により冷却されて、気温が露点以下に低下する
・水蒸気を含んだ空気の中に、何らかの理由により水蒸気が飽和量以上に過剰供給になる
以上のようなときになります。
それでは、上記のようなことが起きる原因は、
・水蒸気を含んだ空気の上昇による断熱冷却
・水蒸気を含んだ空気の寒冷な地表面との接触による冷却
・落下中の雨粒からの蒸発
・温暖な水面からの蒸発
・高湿、高温な空気との混合
以上のようなものがあげられます。
雲の組成
雲は微小水滴と氷晶片の莫大な数からなりたっていますが、氷と水の境目の湿度は現実の雲のなかでは0℃ではなく、-13℃程度になっています。したがって、0℃から-13℃の雲では雲粒の大部分は過冷却水滴で占められています。これは温度が高いほど、過冷却水滴で占められている割合が大きく、逆に-13℃以下では温度が低いほど氷晶片になります。
雲は大まかに分けると積雲系・層雲系・絹雲系の3種類にわけることができます。これらの3種類を中心にして次の諸要因により雲の形が決定されます。
・上昇気流の性質と規模
・安定度
・氷晶度合い
・速度分布
霧
霧は大気の底に発生する雲で、雲とは本質的には同一のものになります。
地表付近で発生するため特殊な条件があるのが霧です。
航空気象では卓越視程が1km以内が霧とされています。卓越視程が1km以上ある場合は、靄(もや)と呼ばれて区別されます。密度の違いによるものになります。
同じ霧でも発生条件や気温の低下と擦上記の過剰供給の行われ方により分類されます。
放射霧
地表面の放射冷却が原因となって発生します。
この放射霧は別名で地霧とも呼ばれます。
放射霧の発生は陸上だけに限られて、夜間から早朝にかけて発生します。
日の出後に気温が上昇することで消失することがほとんどです。
移流霧
暖かい湿った空気が冷たい海面や陸面に移流し、冷却されることで発生します。
海面で発生するものは海霧(sea fog)と呼ばれます。
冷たい海と温暖な空気でできている為、空気の流れが変わらないとなかなか消失しません。
そのため、一日中影響が発生することがあります。
日本で特に海霧の影響を受けやすいのは釧路空港かと思います。
そのほかにも新千歳・函館・仙台なども海霧の影響を受けやすい空港になります。
滑昇霧
湿った安定的な気層が山の斜面に沿って上昇するときに発生する霧です。
斜面の弱い上昇気流が長く続くことで発生してきます。
風が強くなると次第に地表面から離れて雲となっていきます。
蒸気霧
冷たい空気が暖かい水面の上に流れると空気が飽和しても蒸発が発生し、余分な水蒸気が蒸発して霧が発生します。
海面上で発生すると煙が立つように見えるので、海煙(sea smoke)ともいわれます。
冬場のお風呂を想像してもらえればわかりやすいかと思います。
降水霧
落下中の雨粒が蒸発し、余分な水蒸気が供給されることにより発生します。
発生するメカニズムは蒸気霧と同じになりますが、水蒸気の供給源が違います。
前線霧とも呼ばれ、特に温暖前線に伴う場合は急速に発生して広がります。
氷霧
気温が極端に低く風が弱いときに発生します。
北海道や極地方の低温の地域で見られます。
まとめ
雲と霧は性質的には同じものになります。
簡単にいえば地表に接しているか、接していないかで見分けることができます。
例えば、あなたが山の下に立っているとします。そこで山を見上げると山には雲がかかっています。山の下にいる状態から見ると雲ですが、山を登って雲があった場所までいくと自分の周りの地表に接しているので霧と呼ばれるようになります。
雲と霧は飛行機の運航にとって大きな影響があります。
・雲は中に入ると揺れるのでできるだけ避けて飛びたい
・霧は地表が視認できなくて着陸できない可能性がある
どちらも嫌ですよね。
TAF 飛行場予報であらかじめ予想はされていますが、まだまだ完ぺきではありません。
発生状況なんかは気象庁が提供している霧プロダクトでみることができます。
気象は予想が難しいですね。
コメント